獏の餌

K次のブログ

霧か、曇りか。

夕飯を逃した。
理由はある。昼に、今晩の急用が入ったので外で夕食を取るつもりだった。しかしその急用は結局固まる前にそのまま溶けてなくなってしまったのだ。その急用を寄越した先方からの決行連絡を、予定時刻のギリギリの時間まで待っていた僕は、時間だけ食って食事は食い損ねてしまった。
少し腹の空く23時。何か、買いに出なければ。

せっかくなので、カメラを持った。散歩がてら、シャッターを切って、ぶらぶらと行こう。
あてはない。あてはなくとも、足は、歩き慣れた道を選ぶ。いずれは、コンビニか、24時間営業のスーパーにたどり着けるだろう。

外に出ると、ひんやりとしていた。道の数百メートル先が霞んで見えた。いつもの変哲ない街灯がシネマティックに辺りを照らす。

霧だ。いや、メガネの曇りか。いや、やはり霧だ。

証拠に、車のヘッドライトの光線にザラザラとした輪郭がある。
霧か。霧だ。メガネの曇りではない。そういえば、曇るほど寒くはない。

ひんやりとした空気は、涼しいというにはまだ冷たすぎるが、冬の鉄板のような冷たさでもない。霧によって、冬の乾燥もない。
さようなら、冬。

この週末はずいぶん気温が上がるらしいな。
北向きの僕の部屋は、まだしばらく寒いだろうが。

嘘、毒素。

嘘は現実よりも存在感をもって全身にのしかかってくる。毒のように重い。

金曜日にしょうもないことをやらかした。
そのしょうもないことを隠蔽するために、しょうもない嘘をついた。

冷静になれば、すぐにバレる嘘だった。決定的な証拠はない。とはいえ誰の目にもそうとしか見えない、そういう状況証拠が揃っていた。
焦ってついた嘘の強度たるや、全く脆いものだ。

いつもは誠実を心がけている。嘘なんかつかない。

けれど、あの時は動転していた。動転して嘘をつくなんて小学生みたいだ。いや僕はガキンチョなんだな。しょうもない嘘は、心底にあるしょうもない虚栄が生み出したものだ。自分はまだ、しょうもないガキだ。
現実は僕は成人を超え、もう小学生ではない。だから怒ってくれる親や先生はいない。毒を吸い出してくれる人はいない。

咎められずに受け入れられた嘘は、吐き続けなければいけない。
咎められない限り、嘘は現実として存在する。
ずっと、在る。

このところ、ずっと気分が沈んでいた。忙しさ、プレッシャー、乱れる生活サイクル。
部屋はますます荒れ、自分はゾンビに近づいていく。動くだけ、働くだけのウォーキングデッド。
そんなとき自分で自分の腕を噛んで差し込まれた毒で、もう完全にダメになってしまった。蝕ままれて、土日のほとんどを寝て過ごした。

二度と、嘘をつくまい。そう誓う。

ミスをすること、ミスを叱られること以上に、嘘をつくことはつらい。嘘をつき続けることはつらい。

しかし僕に嘘をつかせた虚栄は簡単に矯正できないだろう。だから自分の行動を正していくしかない。

誠実に生きよう。
朝は余裕を持って起きよう。夜更かしはやめよう。
食事はしっかりとろう。部屋は片付けよう。
約束は守ろう。言ったことは必ず実行しよう。

嘘をつかなくてはならないような、しょうもないやらかしをしなくて済むように。

誠実さは、人のためではない。自分のため。もう嘘をつきたくない。

血清はない。

i 玉手箱

余命

2022年の1月、丸4年以上(個体でいうと3年ほどだろうか)使い続けたiPhone8を買い替えようかと、ふいに思いたつ。iPhone8からiPhone13 Proに買い替えたという人に会ったのがきっかけだった。

指紋認証、3D Touch、薄さ大きさといったiPhone8の特徴を気に入っていた。
何よりiPhone8の機能で十分だった。満足していた。新機種が発表されるたびにガジェットオタクとしての興味は湧いたけど、ユーザーとして購入の動機にはならなかった。

けれど、最近不満点が現れた。バッテリーの"持ち"である。ここのところ冬で寒いということもあり、バッテリーの持ちが非常に悪い(一般的に寒いとバッテリーの消耗は早くなるという)。修理に出してバッテリーを交換しても良いが、流石にそろそろ製品寿命とも言えるiPhone8である。仮に近いうちに買い換えるのだとしたら、バッテリーを交換するのはもったいない。

「激しくなったバッテリーの消耗」という1つ目の買い替えの動機を、僕は得てしまった。しかし、これはまだ優柔不断な僕に大きな出費を決断させるには不十分だった。

 

不便

使っていたスマホケースは、本体側面のボタンも画像のように覆う形で保護するケースだった。しかし、電源ボタンのカバーが折れてしまったのだ。見た目もあまり良くはないのだが、それ以上に使い勝手が悪くなった。カバーが無くなったために本体ボタンを直接押す必要があるが、カバーの「土手」で奥まった形状になってしまい、これが大変押しづらい。

普段なら新しいケースを注文するところだが、買い替えを検討しているスマホのケースに手は出ない。「ケースを買い替えるなら、本体もこれを機に変えてしまおうか」。そんなふうに僕は2つ目の動機を得てしまった。ただしこれもまだ、僕の覚悟は決まらなかった。

f:id:nextttk:20220226223804j:plain

電源ボタンのカバーが破損してしまったために、電源ボタンが押しづらい。

 

引導

こんなふうに、長く使って愛着のあるiPhone8への別れ惜しさと、最低でも10万程度する出費のパンチで、買い替えを決めきれずに渋っていた僕にも、いよいよ決定的な動機ができる。

ある朝駅に向かう途中、iPhone8をアスファルトに落としてしまった。画面を下向きにして、地面に伏せているiPhone8を引き上げて確認すると、画面にはヒビが入っていた。
今は亡きホームボタン周辺へのヒビであるので、臨時的には使用に耐えるが、長くは使えないだろう。
ヒビを見た瞬間に、僕は「ああ、買い替えよう」と対抗できない動機を得てしまった。
うじうじしている僕に対して、iPhone8が向こうから引導を渡してきたような気さえした。

f:id:nextttk:20220226223756j:plain

本体画面側にヒビが入ってしまった。



転生

決めてしまえばそこはガジェットオタクである。本体をどうするか、周辺機器はどうするか、ノリノリで悩む。
本体は、両極端の13 miniとPro Maxで悩んだ。コンパクトで「ケータイ」という道具としての利便性をとるなら13 miniだ。本体サイズで言えばiPhone8と変わらない。もっとも扱いやすいだろう。一方、Pro Maxの高性能なカメラや大きな画面は写真やカメラを趣味にする僕にとって魅力的であった。どデカいスマホを使ったことがないので一度くらい試してみようと、Pro Maxを選んだ。
また、周辺機器は下のものを買った。参考にしてほしい。
使い始めて間もないが今のところどれも満足している。

 

f:id:nextttk:20220226223751j:plain
f:id:nextttk:20220226223746j:plain
iPhone 8と13 Pro Maxの比較。本体も画面も大きくなった。

 

浦島

使い始めてすぐに画面の美しさに惚れ惚れするばかりである。カメラの画質もすこぶる良い。本体が大きいのが扱いづらいのは間違いないが、一方、見やすさは圧倒的だ。iPhone8の画面など、おもちゃのそれに思える。まだまだ試せていない機能・性能はたくさんあるので、少しずつ扱いこなしていきたい。TwitterinstagramiPhone 13 Pro Maxで撮影した写真なども投稿すると思うので、フォローしてくれると嬉しい。

ありがとう、iPhone8。
間違いなくガジェット史に残る不朽の名機だった。

しかし、箱を開けた今、彼は老けてしまったな。足るを知るとは、知らないことよって得られるものだ。

f:id:nextttk:20220226223740j:plain

 

 

おまけ - iPhone 13 Pro Maxのために買い集めたアクセサリ -

※2022年2月26日:文章を一部修正しました。画像を差し替え、追加掲載しまいた。